「拝啓―
佐倉家の皆様。お久しぶりです。
突然、このような行動を起こしてしまう僕をどうかお許しください。
―知っての通り…妻が先月、長かった闘病生活に終止符を打つようにこの世を去りました。
残していったのは…愛娘の美夢でした。
決して何かのせいにするつもりはありません。
もちろん美夢の事も愛しています―
しかし、妻の入院費を払いながらの美夢の育児は…
僕の想像を遥かに越えていました…
僕は怖いのです。
いつか疲れてしまったとき…自分が何をしでかすか…
この不景気、1人で食ってゆくのがやっとの状況であり…美夢を養って行ける自信はありません。
かと言って誰かに頼もうにも…浮かび上がってくるのは佐倉夫妻だけでした。
ですからしばらくの間、美夢を預けます。
出稼ぎに出ることになったので連絡を取るのは難しいと思われます。
―だけれど約束します。
時がきたら必ず、必ず美夢を迎えにいきます。
それまでどうか美夢のことをよろしくお願いします。
最後に…
大変、身勝手な行動をとってしまい…佐倉夫妻に迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。
―野々村夢斗」
お母さんは涙目になりながら読み終えると
紙を丁寧にたたみ、便箋にしまった
………………
「「で?」」
佐倉家の皆様。お久しぶりです。
突然、このような行動を起こしてしまう僕をどうかお許しください。
―知っての通り…妻が先月、長かった闘病生活に終止符を打つようにこの世を去りました。
残していったのは…愛娘の美夢でした。
決して何かのせいにするつもりはありません。
もちろん美夢の事も愛しています―
しかし、妻の入院費を払いながらの美夢の育児は…
僕の想像を遥かに越えていました…
僕は怖いのです。
いつか疲れてしまったとき…自分が何をしでかすか…
この不景気、1人で食ってゆくのがやっとの状況であり…美夢を養って行ける自信はありません。
かと言って誰かに頼もうにも…浮かび上がってくるのは佐倉夫妻だけでした。
ですからしばらくの間、美夢を預けます。
出稼ぎに出ることになったので連絡を取るのは難しいと思われます。
―だけれど約束します。
時がきたら必ず、必ず美夢を迎えにいきます。
それまでどうか美夢のことをよろしくお願いします。
最後に…
大変、身勝手な行動をとってしまい…佐倉夫妻に迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした。
―野々村夢斗」
お母さんは涙目になりながら読み終えると
紙を丁寧にたたみ、便箋にしまった
………………
「「で?」」