ぷかりと紫煙をくゆらす。
吐き出された煙は、青空に吸い込まれていった。
「良い天気だなぁ」
思わずアホみたいな独り言をアホみたいな顔で呟いた。
だけど、大丈夫。
ここは俺の秘密基地だ。
どんな顔でどんなことを呟こうと、文句を言う輩はいない。
高校という限られた敷地内で見つけた、誰にも見つからない隠れ家。
体育館の隅にある梯子をよじ登り、そこから更に屋根裏に続く梯子を登った後、錆びついた窓を無理やりこじ開けた先が、俺の領土だ。
要するに、体育館の屋根の上だ。
街並みが一望できるし、開放的だし、何より、人が全く来ないところが気に入っている。
こと学校という空間において、そんな場所は数えるほどしかないだろう。
それに、ここで食う昼飯は、抜群に美味い。
日常の小さな悩みなんて遠くに置き去りにできる気がする。
だから俺は、昼休みの度にわざわざこうしてこの場所に足を運んでいるというわけだ。
ただし、最近ではこの根城に問題が発生している。
先程、ここには人が来ない、と述べたが、来客があるのだ。
それも、毎日。
「先輩、こんにちは!」
「…こんにちは、村上さん」
振り向けば、錆びついた窓から顔を出した女子、村上さんがこちらを覗いていた。
「隣、良いですか?」
「どうぞ」
窓を乗り越え、屋根の上に着地して、腰かける。
下はかなり汚いのだが、気にしていない様子だ。
こっそり、彼女の顔を窺う。
相変わらず、何を考えているのか分からない。
俺の視線に気づいたのか、こちらを振り向き、にこりと笑う。
肩まで伸びた黒髪がふわりと舞い、何だかすごく良い匂いがした。
村上さんは三日前にここで出会ってから、毎日ここに来るようになった。
それは一人になりたくてここに来ている俺からすれば、迷惑以外の何物でもなかったけれど、どうやらそんなことは彼女には関係のないことのようだ。
吐き出された煙は、青空に吸い込まれていった。
「良い天気だなぁ」
思わずアホみたいな独り言をアホみたいな顔で呟いた。
だけど、大丈夫。
ここは俺の秘密基地だ。
どんな顔でどんなことを呟こうと、文句を言う輩はいない。
高校という限られた敷地内で見つけた、誰にも見つからない隠れ家。
体育館の隅にある梯子をよじ登り、そこから更に屋根裏に続く梯子を登った後、錆びついた窓を無理やりこじ開けた先が、俺の領土だ。
要するに、体育館の屋根の上だ。
街並みが一望できるし、開放的だし、何より、人が全く来ないところが気に入っている。
こと学校という空間において、そんな場所は数えるほどしかないだろう。
それに、ここで食う昼飯は、抜群に美味い。
日常の小さな悩みなんて遠くに置き去りにできる気がする。
だから俺は、昼休みの度にわざわざこうしてこの場所に足を運んでいるというわけだ。
ただし、最近ではこの根城に問題が発生している。
先程、ここには人が来ない、と述べたが、来客があるのだ。
それも、毎日。
「先輩、こんにちは!」
「…こんにちは、村上さん」
振り向けば、錆びついた窓から顔を出した女子、村上さんがこちらを覗いていた。
「隣、良いですか?」
「どうぞ」
窓を乗り越え、屋根の上に着地して、腰かける。
下はかなり汚いのだが、気にしていない様子だ。
こっそり、彼女の顔を窺う。
相変わらず、何を考えているのか分からない。
俺の視線に気づいたのか、こちらを振り向き、にこりと笑う。
肩まで伸びた黒髪がふわりと舞い、何だかすごく良い匂いがした。
村上さんは三日前にここで出会ってから、毎日ここに来るようになった。
それは一人になりたくてここに来ている俺からすれば、迷惑以外の何物でもなかったけれど、どうやらそんなことは彼女には関係のないことのようだ。