「何か悩み事でもあるの?」

「あ、ううん…」

まさか佐山君に、自分の体がおかしいなんて相談できない。


ちょっと考え事を…と、当り障りなく返そうとしたところで、突然、クラスメイトの男子2人が、バタバタと騒がしい様子で教室に入ってきた。

興奮気味に声を上げる姿に思わず目が行ってしまい、佐山君との会話は一時中断。

同じく佐山君も気になったのか、何事だろうという顔を向けている。


どうしたんだろう…。

何か楽しいことでもあったのかな、という程度くらいに思って傍観していたら、どうやら、私に関わることらしく、目の前でその男子2人が立ち止まった。


「え…?な、なに…?」

とりわけ、仲がいいわけでもない。むしろ、話したことがないくらいの間柄だ。

何だかイヤな予感がしてビクビクと身構えていると、その男子2人は興味深そうに身を乗り出して声を上げた。


「久世、停学処分になったってマジ!?」

「自宅謹慎なんだろ!?何やらかしたんだ!?」




―――――え?


停学……?自宅謹慎…?


寝耳に水、というか、あまりにも突然すぎる言葉に、頭が真っ白になってしまった。言葉が出てこない。


久世玲人が、停学……?


瞬きしながら放心状態になっている私に、佐山君が「原田さん…?」と心配そうに声をかけてくる。


停学って、何で…。どうして…。


一気に体温が下がっていくような感覚に陥り、ギュッと手を握り締めて、震えそうになる体をなんとか抑えた。