長い1日だった…。

久世玲人と佐山君、2人の男に心がかき乱され、一生分の疲れを体験した気がする。


部屋に入り、ボフッとベッドに倒れ込んだ。


教室で久世玲人に抱き締められた時、自分がどうにかなってしまいそうだった。

このまま流されてしまう……と思ってしまったけど、その雰囲気から一転、久世玲人はすぐ身を離し、ムッとした顔つきのままお説教タイムへと入った。

それからの帰り道も悲惨で…。

家に帰る間もずーっと機嫌が悪く、「二度と他の男と2人になるな」と散々怒られてしまった。




一体どういうつもりなんだろう…。

久世玲人の言動といい、泰造の言葉といい、……本当に私のことを…好き、なの…?

もし、そうだったら…、私は…?

考えると、胸がドキドキし始める。心が穏やかでいられない。

それに佐山君のことが加わると、もう頭がパンクしてしまいそうだ。


「うぅー…どうしたらいいの…」

枕をギュウッと抱き締めながら、ベッドの上で小さく丸まっていたその時、RRR…と携帯の着信が鳴り響いた。

相手は春奈だ。


「もしもし…」

『あ、菜都?今日何だったの?お昼、何か話があったんでしょ?』

「あ…」

そういえば…。

佐山君に告白された直後、廊下で遭遇した春奈に思わず相談しようとした。久世玲人のおかげで出来なかったけど…。


「あのね…」

『うん?』

こんな難問、1人で解決できるはずがないと思った私は、早速春奈に相談することにした。


佐山君に告白されたこと。断ろうとしたけど、真剣に考えて欲しいと言われたこと。


……さすがに、久世玲人の言動が激しいことまでは言えなかったけど。