「佐山君ありがとう〜!数学苦手だから助かる」

「苦手だったんだ。原田さん、ソツなくこなしそうなのに」

「いやいや…」

そう見られてたのなら得だけど、実際は中の下くらいだ。全然できないわけじゃないところが、平凡好きな私っぽい。


ノートをカキカキと必死に写している私に、佐山君が話し掛けてきた。


「数学、分からなかったら教えようか?」

「…え?」

その言葉に思わず顔を上げると、佐山君は慌てながら「あ、え、えっと…」と言葉に詰まっている。


「いや、もし、宿題とかで分からないところとかあったら…。電話でも、メールでも、聞いてくれたら答えるよ?」

「ええ!?でも、そんなこと迷惑だから大丈夫だよ!!」

「迷惑じゃない」


遠慮して断るけど、佐山君はマジメな顔つきになっている。冗談ではないようだ…。