時間はもう10時を過ぎている。


バイトをしていたとしても、もう家にいる時間。


駅まで歩いてる途中、カバンの中で携帯が何度も震えていた。


絶対怒られる……。



車内は空いていたけど、あたしは窓際に立った。


窓に映る自分の顔を見ていたら、今日の色んなことがよみがえってきた。



福嶋さんの冷たい目。


アイツの唇と息遣い。



……全部忘れたい。



よみがえってきた全てを消すために、あたしは窓に頭を預けて目を閉じた──。