雨だし、店内で朝マックをしながら皆を待つか。

 店の前に行くと、丁度店員さんが開店準備を終えた所に遭遇。

「おはようございます! マックへようこそ!」

 どうやら本日の客、第一号の模様だ。

 適当に注文をしている最中、最初に現れたのはやっぱり伊藤部長。

「なんだ、浅野君が一番乗りだから大雨じゃない」

 いや、起きたら雨降ってましたけど?

 続いて北田兄妹。

「あれ? なんで浅野が?」

 何でって、いちゃーいけないんですか?

 その後も続々と来る部員達に散々珍しがられる俺。

 どういう扱いなんだよ。

 時間ぎりぎり、最後に来たのが村山を従えた瀬戸先輩。

「おっはよー。皆、早いね」

「瀬戸が遅いんだよ。食ってる暇無いからな」

「え〜北ちゃんのいじわる」

 北ちゃんって誰だよ。

 しかし、ホントにこの二人は仲がいいよな。

 そのくせ付き合ってるとか無いし。

 水泳部の七不思議の一つだな。

 他の6つは知らないけど。


 ジャージ軍団がバスに乗り込んでいく。

 他校の生徒も一緒だから、バス内は色とりどりのジャージ軍団の群れ群れ群れ。

「密着するからって痴漢しちゃだめだからね」

 あーちゃん、声大きい!

 ほら、他校の生徒が遠ざかって行くじゃないか。

 一部近寄ってくる男子もいる……おい! 近寄るな! トロンとした目で俺を見るんじゃない!


「しかし、こんなに混むと、寺尾はどこにいるかわからなくなるな」

「ひどーい。そんなにちっちゃくないもん」

「頭頂部が俺のあご下の人が何を言う」

「うう……いじわる」

 いやそんないじめられた、的な目で見るなよ。照れるじゃないか。

 そんなバカ話とは関係なく、バスは時間通りに目的の県営プールに到着。


 県営プールはその歴史も古く、戦後直ぐに建てられたらしい。

 そして、この夏に取り壊し、一年掛かりで建て替えるとか。

 今年の新人戦からは、地方のプールで大会を行うらしい。

 だからと言って、特に感慨はないけど。