静まり返る教室。

 今は試験の真っ只中。

 まだ入学して2週間。

 いきなりの実力考査。

 なぜ?


 どうやらこの学校では通例行事らしい。

 しかし……受験が終わってから約二ヶ月、勉強なんぞ一切していないというのに。

 授業? 何それ? 食えんの?

 問題は確かに中学時代に……習ったような、気もするが。

 それでも、記号問題ならだいたい正解が解る。

 これなら赤点(30点)は免れるだろう。

 ちらっと周りに目をやると、余裕こいて寝てる奴もちらほら。

 俺も昨夜は遅くまで遊んでて寝不足だから、ちょいと寝ますか。


「よう、浅野、どうだった?」

 試験も終わり、部活へ向かうと、朝倉先輩に聞かれる。

 4月のプールサイドはまだ風が吹くと寒く感じる時もたまにあるかないか、くらいに微妙。

「とりあえず赤点はないと思いますけど、どうですかね」

 まだ全員揃う前のだべり時間帯。

 ちなみに実力考査は一年生だけらしい。

「赤点はって。お前らならあんなの楽勝じゃないんか?」

 根拠なく楽勝って思われても。

「選択問題は出来たんで、あとは記述式が一ついければ……」

 とりあえず笑ってごまかす。

「けどそれやと50点はきつくないか?」

「え? 赤点は30点以下でしょ?

「水泳部は50点が赤点ラインだぞ。知らんかったんか?」

 なんだそのローカルルール。だいたいそんな話は一切聞いてません……。

「まあ追試する訳じゃないけどな。罰としてメニュー追加されるだけだ」

 やべえ。数学以外は全滅の予感……。



 そんな時期を過ぎ、黄金週間の前に、プール開きがある。

 5月から魚類に戻らないと、6月から始まる大会には間に合わない。

 室内大会はもっと前からあるらしいが、うちの学校には関係無いらしい。

 強豪校であれば、冬でも温水プール行って、年中泳いでるから、参加するみたいだが。

 俺は温水プールは空が見えないから嫌いなんだけどね。

 決して強がってるとか、拗ねてるとか、野性児だとか、そういうんじゃなく。