「リーダーは浅野君ね。よろしく!」

 あーちゃんが勝手に決め付けるんだが。

「俺よりあーちゃんの方が仕切るの上手いじゃないか?」

「何言ってんの。一年生のキャプテンでしょ」

 それは部活の話だろ。

 勝手知ったるメンバーならまだしも、まだ出会って一週間。

 最近流行りのケータイ小説なら、出会ったその日から意気投合なんだろうが、生憎この小説は流行ってないからなあ。

「みんな。春とはいえ、山は寒いから、気をつけてな。それじゃあ解散」

 それならやらなきゃいいのに、と思う。


 まずはどこから行きますかね?

「どうやらここには家畜がいるみたいだが、その辺りを見て回るか?」

 キャンプ場の麓は畜産センターになっていて、一般開放されている。

「家畜かあ。ハムスターとかいるかな?」

 あーちゃん、ハムスターは家畜じゃないし。

「犬とかいないかな? 大好きなんだ」

 そうか。寺尾は犬派か。気が合いそうだ。てか、犬もいません。

「だが、一番家畜に近いのは村山だな」

「なんで? 僕のどこが?」

「瀬戸先輩のペットだろ?」

 俺ならペットショップで村山が売っていても買わないが。

「そ、それは……違う……」

 なんで否定するだけなのに、そんな小声になるんだか。

「でも浅野君なら、由美のペットになれるんじゃない?」

 は? 何その無茶振り?

「というか、寺尾も女王様気質なのか?」

 どちらかと言えば、わがままお嬢様役が似合いそうだが。

「ち、ちがうもん! あーちゃんも変な事言わないでよ〜」

 だよな。

 寺尾が深キョン並のムチムチドロンジョコスプレしているのは……あんまり想像したくないし。

「そう? 浅野君ならいいトンズラになりそうだけど」

 あーちゃんの中の俺は一体どんな感じなのか、一度問い合わせしたい。

 問い合わせ用のメアドはどこだっけ?