集合場所に着いたのは時間ギリギリの6時29分56秒。
「いつも大会の時だけは早いのに、今日はどうした?」
朝倉先輩? 余分な一言が入ってませんか?
「浅野君は昨日眠れなかったんじゃないの? 興奮しすぎで」
大畠先輩? ちゃんと熟睡しましたし、朝も起きましたよ。
「浅野君、ごめんね。今朝電話できなくて……」
由美が申し訳なさそうに近付いてきた。
「ん? ああ、まあそれは大丈夫だ。ちゃんと寝たし、朝も起きれたし」
と気遣って答えたら、何か寂しそうになる。
「私の電話、要らなかったの?」
「そんな事はない! 電話が無かったから、ギリギリになってしまったんだからな」
実際、今朝は偶然目が覚めただけだし。
「そうだよ。浅野君は昨夜なかなか寝付けなかったんだからね」
あーちゃんの言っている意味が分からないが。
「これからの由美とのあーんな事やこーんな事を想像、あ、妄想しすぎてたんだから」
井戸端おばちゃんから下ネタおばちゃんに形態変化したらしい。
「だって、由美もそうだったんだから、ね?」
え?
「ち、違うよ! も〜あーちゃん、変な事言わないでよ!」
この慌て方、返し方は、図星だな。
「成る程。由美は実は耳年増だったっていうオチか」
と、何やら周りの視線がニタニタ、からやってられねー、に変わった?
「いくら付き合い始めたって言ってもなあ」
「まだ昨日の事だぞ」
「それなのに今日、もう名前で呼ぶか?」
「ラブコメ漫画の読みすぎだよ」
「いやいや、それより18禁ゲームのやり過ぎじゃね?」
「あー分かる。もしかして、にいにい、とか呼ばせてるんじゃね?」
いやいや、18禁ゲームとかしてないし。
そもそも、にいにい、とか何だよ。
本人に聞こえる陰口というのは自重しましょう、皆さん。
と、伊藤部長
「変態妄想癖の浅野君はちゃっちゃと食べる。時間無くなるよ」
なんかまた新たに意味不明な称号を手にしたらしい。
嬉しくないし。