そんな会話の中でも、先輩達が続々とプールサイドに上がってくる。

「岬ちゃん、寺尾さんご苦労様。2人だけ?」

 部長さんの問いかけに

「はい。でも2人とも入部してくれますから。もう4人です」

とあーちゃんが元気に答えている。

「そう。でもあと女子も2〜3人、できれば選手で欲しいわね」

 そんな部長さんをよそに、瀬戸先輩は村山に近づいていく。

「村山君、ちゃんと1人連れていきたんだね。えらいえらい」

と頭をなでている。

 てか、1人連れてきたって、俺の事か?

「こいつが瀬戸のペットの後輩か」

 男の先輩が冷やかすが……ペット?

「せ、先輩。もしかして……」

「みんな知ってるわよ。話しちゃったから」

 むむむ? 話が読めん。

「寺尾さん、何のことか知ってる?」

 知る訳は無かろうが、とりあえずは聞いてみるが。

「さぁ? なんだろね?」

と寺尾もきょとんとした顔で成り行きを見つめている。

「で? 君は?」

 先ほどの男の先輩が聞いてきた。

「あ、はい、浅野弘樹です。北中から来ました」

 いきなり聞かれたので簡潔に自己紹介だけで返す。

「見たとこ、経験者かな?」

 どこを見ると水泳経験者だと判別つくのかは分からないが

「あ、はい。中学でやってました」

と、とりあえず体育会系だから元気よく返事をする。

「まぁそう固くなるなって。うちの部はそんなに上下関係に厳しくないから。あ、俺は北田。一応二年のキャプテンやってるから。よろしく」

 そう言う北田先輩、体育会系らしくがっちりした体格で、身長も俺と同じくらい、180cmあるであろう。

 と見ると先輩たちはみんな揃っているようだ。

 あれ? 一番後ろからなんかおばちゃんが付いて来るぞ?

「おー! 新入生来てるんだ!」

「はい! 先生、これでもう4人ですから幸先いいですよ」

 へ? 先生って……女性顧問って……。

 どう若く見ても30後半、普通に見れば40中盤じゃないか。

 俺の期待はどこへ……。