「ところで、場所はどこにするんだ?」

 4人で勉強会となれば、それなりの広い部屋が欲しいところ。

「図書館とかは話が出来ないからダメだしね」

 あーちゃんの言う話って、井戸端会議じゃないよね?

「仕方ない、村山。アパートを借りろ」

「なんで? 意味分かんないよ」

「そんな理解力では、期末は赤点だな。村山が借りたアパートで、4人で勉強会をする、だけの単純な話だ」

「だから! なんで僕が借りなきゃいけないの?」

「どうせ借りないだろ。言ってみただけだから気にするな」

「だったら最初から言わないでいいよ……」

 ツッコミに疲れた村山は置いとくとして。

「こういう場合、普通は言い出した人の部屋に集まるんだが……」

と言いつつチラッと寺尾に視線をやる。

「まあ、そう言われればそうよね」

 あーちゃんも寺尾に視線を向ける。

「ん? 言い出したのって……もしかして私?」

 自分に指を向けて尋ねてくるが、一黒堂がいない限りは寺尾だろう。

「えっ!! 無理無理無理! 私の部屋は狭いし汚いし!」

 そんな事をクラス中に聞こえる大声で言うとか、寺尾には恥じらいはないのか?

「え〜っと、あ! ほら、家、学校から遠いし。あ! 一番近いの村山君の家だよね? ね?」

 必死な寺尾。そんなに自分の部屋を隠したいのか?

「そんな、僕の部屋は……」

「壁一面に瀬戸先輩の写真が貼り廻らされているのか?」

「そんな訳ないでしょ! ってかなんで僕の時だけそんなこというの?」

 聞かなくても分かるだろ? 面白いからに決まってるじゃないか。

「まあそう言うことで、村山には悪いが、部屋を提供してもらおう」

 本人は嫌がっているが、この3人相手だ、諦めろ。

「平日は部活あるから、土日だね」

 さすがに仕切り屋のあーちゃん、決めるのが早い。

「じゃあ土日は部活が終わったら村山君の家だね」

 被害者から逃れた寺尾は嬉しそうに言う。そこまで恥ずかしいものなのか?

「もう……わかったよ……」

 村山も観念したらしく、うなだれている。