あーちゃんにバレたとはいえ、寺尾が覚えていたのはラッキー、なのかな?
ここでその話しをしてはマズイいから、今日帰ってからメールでもしよう。
「それで、浅野君はどこに行きたいの?」
ちょっと! 寺尾さん! 今言わない!
「由美は誘って私達は無し、とか言わないわよね?」
くっ……あーちゃんが食いついてきたじゃないか。
「え? あ! え〜と、ほら、浅野君。みんなも行きたいんだって!」
寺尾もマズッたのには気付いたみたいだけど、時既に遅し。
「由美。あんたって子はホントに……」
あーちゃん? 自分でふっといてそれはどうよ?
まあ言いたくなる気持ちは良く解る。俺も同じ気持ちだから。
この流れ上、2人で遊びに行くから、と断れば、理由を根掘り葉掘り聞かれかねないし。
「まあそれでもいいが……」
俺もそう答えるしかない状況だな。
まあ高校生らしく、グループ交際、と……いや、あーちゃんの相手は誰が?
「じゃあ明日、どこに行くか決めようね」
俺とあーちゃんの呆れた顔に気付いたのか、照れ隠しみたいに笑う寺尾。
そんな顔がまた可愛い、とか言ってる場合じゃないが。
「それじゃあ今日も頑張るか」
「浅野君はリレーしかないじゃん!」
「それは昨日頑張ったからだろ。なあ?」
「うん。浅野君頑張った。エライエライ」
……いや、寺尾にそう言われても、幼稚園児じゃないんだから。
頭撫でないだけマシだけど。
二日目は開会式が無いのもあり、朝早くから各校の選手がメインプールでアップをしている。
「今日は晴れてよかったね」
昨日の雨とは打って変わって、高校生の競技大会に相応しい青空が広がっている。
「浅野が早起きしたっていうのにな」
兄北田は俺をいじめるのがそんなに楽しいのか?
「けど今日は私が勝ったから晴れたのね」
部長もいつまでもそれをいいますか。よっぽど昨日の事を根に持っているのだろうか? 悪い事したわけでも無いんだけど。
