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「部室がありません」

 最初、何をいわれたのかがよく理解出来なかった。

 生徒会会議室に呼び集められたわたしたちは、

「はい?」

 と、見事にハモってみせたものの、先輩からは再び、

「天文部が部室として使うための部屋の空きが、ありません」

 そう告げられただけだった。

 しばしの沈黙のあと最初に口を開いたのは意外にも白鳥光で、

「んなもん、そもそも必要なのか? 星見上げるだけだろ?」

 ズズッ、と出されたアイス珈琲を相変わらず偉そうな態度でどっかりと椅子に背を預けながらこともなげにいった。

 えぇ、えぇ、わかってました。

 この人に天文部の何たるかを理解することなんて出来ないってことくらい。

「あのですね。天た――」

「天体観測ナメてんじゃないわよ!」

「――い観そ、って、おおぅ?」

 ガバッ、とアイスココアの飲み干して、なぜか握り拳を作り上げながら立ち上がった彼女。

 さっすが天音ちゃん。

 同じ“観測者”として観測することの素晴らしさを良く理解してくれてるのね!

「まず単純に星を見上げるっていっても、棒立ちで長時間見上げるわけがないでしょ!」

「そうそう。それはそれで楽しいけど、椅子に座ったりシートを敷いて仰向けに寝転がったりね」

 ほら、ずっと頭上を見上げていると、首が痛くなっちゃうでしょう?

「そりゃ裸眼で観測するのはお手軽だわ。でもアンタみたいな星の素人には星見表を使って教えたり、望遠鏡や双眼鏡で星の近くに寄り添うことだって必要だわ!」

「星の素人って表現はなんだかわかるようでよくわからないけれど、星に寄り添うって表現は素敵ね。さすが天音ちゃん」

「“ブンヤ”は時に創作家でもあるものよ」

 えっと、それは若干、どうなんだろう。