彼-id-SCOUP


「馬鹿だな、オマエ。みんながオッケーっていってんだから黙って「アリガトウゴザイマス」とでもいっときゃいいんだよ」

 白鳥光がいかにも「さっさと帰りてぇんだよ」という口調で机の足を蹴ってきた。

 そりゃあそうなんだけど。

 というか“すね”を蹴らないで。

 結構痛いです。

 でも、そうだよね。

 すんなり通ったことは何より――

「あぁそうそう」

 と思っていたら何やらふと思い出したのか、鷲尾先輩が書類をトントン、とそろえながら優しい笑顔を投げかけてきた。

 大事を終えてすっかりと緊張がほぐれていた私は、身構えるどころかその笑顔についうっとりと見惚れて――

「ちなみにですが……」

――る場合なんかじゃぁこれっぽっちもなかった。