彼-id-SCOUP

「──と、これらを目的として活動をしていきたいと思っています」

 書類から視線を放して前を向く。

 これといって拍手が湧き上がるわけでもなければ、ひそひそと合否の相談をするわけでもない。

 まるで何事もなかったかのような、沈黙というよりは、静寂。

 だ、駄目だったのかな?

 何か抜けていたのだろうか?

 それとも先輩方を納得させるだけの内容になっていなかったのだろうか?

 先程までどこかにいっていた緊張感がずんっ、と音を立てて肩にのしかかってきて思わず足が震え、腰から椅子の上に落ちてしまいそうになる。

 けれど、そうならなかったのは横に彼が、白鳥光がいたからだ。

 ここでそんな情けない姿を見せたら後でどんな嫌味をいわれるかわかったもんじゃない。

 と、

「なぁ、もういんじゃね? そろそろ部活に戻りたいんだけど」

 そう静寂を破る声を出したのは短く髪を刈り上げたいかにもスポーツマンの風貌をした人だった。

 確か、野球部の部長さん。

「そうですね。私もこれといって特に問題にするような点は見受けられませんでしたし」

 次に丁寧な口調で声を上げたのは、料理研究部の部長さん。

 綺麗な黒髪ロングの女性だ。

 ふたりの言葉に反論を挟む発言もなく、ほどなくして、

「では、全会一致で『天文学“部”』を承認ということで、よろしいですか?」

「え? あの、審議とか、採決とか、そういうのは……」

 今までにないくらい緊張していたにもかかわらず、あまりにもあっけなく受理されたことに逆に不安になっていると、