彼-id-SCOUP


 そして放課後がきたわけだけれども。

「…………」

「…………」

「……あの」

「なんだ」

「い、いえ……」

 会議室に横並びで座るわたしたち。

 わたしは左。

 白鳥くんは右。

 わたしは緊張で肩をすぼめてガチガチ。

 白鳥くんは腕を組んでふんぞり返る勢いでどっかりと座っている。

 しかめっ面で。

(これじゃ緊張がほぐれるどころか嫌なプレッシャーにしかならないよ天音ちゃん……)

 正に、実に、いかんともし難い人選ミスだ、これは。

 今はまだわたしたちの他に誰もきてないからいいけれど、先輩方が彼に良い印象をもたないであろうことは想像するに容易い。

 つまり、要するに、まごうことなき人選ミスだ、これは。

 かといって今さら彼に、

「あ、やっぱり同席しなくていいんで。帰って下さい」

 なんてことがいえるはずもなく。

 そんな度胸があればそもそも付き添いなんて必要ない。

 あぁ……きっと今おみくじを引けば確実に大凶が出るに違いない。

 こんなことなら小説だけじゃなくスピーチが好きになる参考書でも読んでおけばよかった。

 最後に原稿のチェックでもしようかと思っていたのだけれど、

「…………」

「…………」

 お隣りの方の不機嫌オーラが肌をチクチクと刺してきてそれどころじゃあない。

 いっそ早く会議が始まらないかなぁ。

「…………」

「…………」

 身じろぎひとつ出来ず、椅子がきしむ音すらない、重い空気に満たされた会議室。

 呼吸さえ、控え目になってしまう。

 そんな雰囲気。

(この沈黙が今は1番ツラいよ……)