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「お疲れ様、みお」

 終業のベルが鳴り終わるか鳴り終わらないかのタイミングで、後ろの天音ちゃんがわたしの肩をモミモミと。

「うぅ~失敗だったぁぁぁ……」

「あっは。だねぇ。ま、過ぎたことは気にしない気にしな~い」

 と、さっぱりからりとした彼女の笑い声とマッサージで幾分肩の強張りが解けたところで、

「ねえ天音ちゃん。明日の放課後って、時間取れる?」

 頭だけ少し後ろに向けてわたしはそう問いかけた。

「明日の臨時集会の件?」

「うん。出来れば、その、ついてきてもらえればなぁ、と……」

 発表自体はもちろん部長の予定であるわたしがする。

 でも、ちょっぴり……いやいや、かなり、不安なのだ。

 ただでさえ人前で話すのが苦手なのに各部長さんたち(当然先輩ばかり)を前に緊張しないわけがない。

 幸いひとりで出席しなきゃいけないだなんてひとこともいわれてないし。

 どんな取材対象にも物怖じしない百戦錬磨?の天音ちゃんがいてくれればそれだけで心強い。

 ところが、

「んー、それが、ねぇ……」

 後頭部に“渋い声”がこつん、と当たる。

「明日はどうしても外せない取材が入ってるのよねぇ……」

「あ、そうなんだ?」

「うん。今回の相手、校内の人じゃないから日にちをこっちの都合でズラすっていうのがちょっと、ね。忙しい人だし」

「そっかぁ……じゃあ仕方な――んひゃっ!?」

 突然後ろから抱きつかれて変な声が出たわたし。

「ごめんね! このお詫びは絶対にするからさ!!」

 ぎゅーっと抱きしめられて苦しいやら嬉しいやら。

 こう力いっぱい全身で謝れちゃ何もいえない。

 というかそもそも無理なお願いをしようとしたのはこちらなのだから何もいうつもりがない。