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 これにはわたしも一瞬びっくりしてしまったけれど、

「アンタねぇ──」

 なんのことはない、

「情報は常に正確でなきゃならないの!」

「は?」

「ましてや今! アタシたちは日々成長してるの!!」

 実に天音ちゃんらしい。

「ど~せ「本気だせば本当は」とかいっちゃう系なんでしょ? ばっかじゃない? 自分の本気をさらけだしたことがない人間に、自分の本気が計れるわけないじゃない!」

 たしかに。

 そりゃ、いつもいっつも全力でいることなんて出来ないけれど。

 かといって手を抜いてばかりだったりめんどくさがってばかりいたんじゃ、“本当の本気”と“普段通り”の差はいつの間にか限りなくゼロになってしまう。

 力のない、言葉だけの“実力”。

 だからこそわたしたちは、大人になる前の発展途上真っ最中のわたしたちは、今を精一杯目一杯の自分で過ごすことを忘れないようにしなきゃいけないんじゃないかな。

 さすが天音ちゃん。

 そこまで考えてのキレっぷりだったのね。

「汗をかかない男に魅力なんて皆無なのよ!」

 あれ?

「いい? 男は汗!」

 どうも話がおかしな方向に──

「それは幻惑魅惑、至福幸福のナチュラリーフレグランス!! 市販の香水なんて“クソクラエ”だわ!!」

「あの……天音さん?」

「暑さで出る汗なんてまがいモノ! 血湧き肉踊る肌と肌のぶつかり合いの中から生まれる泥臭い汗こそ本物の汗なの!! ちょっと、聞いてるのっ!!」

「…………」

「…………」

「……なぁ」

「……はい」

「アンタの相方は普段からこうなのか?」

「……まぁ、ごく、稀に?」

「あぁ嘆かわしきは現代の日本男児! 草食系とかようするにただの“ひょろ男”じゃないのさ!」

「…………」

「…………」

「ちょっと、聞いてるの!!」