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「だからもし、本気でもう1度天文学部を創りたいという人が現れたときには、多少の“職権乱用”をしてでも協力したいな、ってね」

 そういって片目を大人びた外見に反した、茶目っ気たっぷりにつむる先輩。

 本当に、いいのかな?

 確かに“本当の本気で”天文学部を創りたい、あの屋上で星を観たいわたしにとっては願ったり叶ったり。

「でも……」

 何度も幾度も頭の中で回り続ける“でも”。

 だって、わたしには代わりに先輩に返せるものなんて何もない。

「琴引さん」

 からん、と音を立てて溶けた氷の声を合図に、決め手の言葉を先輩が発する。

「星は巡るけれど、同じ空には帰ってこないですから、ね」

 それは星好きだからわかる言葉。

 星は、巡る。

 地平の彼方に沈んで、やがて再び同じ空に帰ってくる。

 けれど、それはちょっとだけ、違う。

 すごくすごくわかり難いけれど星は少しだけ、本当に少しだけ違う場所に帰ってくるのだ。

 あの北極星、こぐま座α星のポラリスだって数千年前には違う星だったって知ってた?

「青春は1度きり」

 なんてありきたりな言葉じゃきっとわたしは思い切れなかったと思う。

 でも、

「星は同じ空には帰ってこない」

 そういわれてしまうともう、

「お言葉に甘えます!!」

 全力で頭を下げるしかないよね。

 顔を上げると先輩は本当に嬉しそうに微笑んでいて。

 わたしはちょっぴり、頬が熱くなるのを感じた。