放課後の独特のどこかゆったりとした、けれど少し淋しい空気の漂う空気。
その中をひとり歩く来慣れない廊下はなんだか心細い。
生徒会室はそんな世界の1番奥にあった。
「失礼、します……」
緊張しながら半歩足を踏み入れたそこは思ったより簡素で。
「新規の同好会申請の手続きについて教えて欲しい――」
西陽差し込む窓際。
「はい。なんでしょう」
ゆっくりと振り返る男性。
「あ、の……」
言葉が詰まったのは緊張のせいでも、西陽が目に入ったせいでも、ない。
(キレイ……)
逆光が赤く縁取る少し長めの髪。
薄く影のかかった顔はやさしい微笑みをたたえていて。
まるで小説の1シーン。
半歩足を踏み入れた代わりに半歩ほど現実から足を踏み外したような。
そんな感覚に襲われたわたしは、
「あ、あの! わたし、1年B組の琴引美織といいます!! せ、生徒会長の鷲尾先輩はいらっしゃいますでしょうか!!」
急にせわしなくなった鼓動を聞き取られないようにと、不自然に大きな声を出した。
「…………」
それにびっくりしたのか、一瞬瞳を大きくした先輩。
けれどすぐにまたやさしい表情に戻って、
「僕が、生徒会長の鷲尾ですよ」
そう教えてくれて。
今思い出しても恥ずかしい。
ある意味第1印象としてはインパクトはあったかもしれないけれど、ね。
まぁともかく。
それが鷲尾先輩との初めての出逢い。
ね。
印象的でしょう?


