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 梅雨がやってくる前の昼間の空は、少しだけそわそわしてる気がする。

 きっと太陽が今のうちにたくさん皆を照らしておこうと思っているからだろう。

「活動内容は……こんな感じでいいよね」

 お昼の時間。

 わたしはひとり、屋上にいた。

 普段から開放はされているものの、案外利用者はなく。

 そのせいか校庭で思い思いにはしゃぐ生徒たちの声がやけに遠く感じる。

 集中して考え事をしたいときには最適。

「活動場所はやっぱり、屋上だよね。うん」

 高台にあるこの校舎は、海の方を向けばそこに視界をさえぎるものなんてない。

 そして何よりのポイントは足元より上に灯りがない。

 絶好の星見台だ。

「それから……活動費用って、何があるだろ?」

 左手には生徒会にもらった書類。

 膝の上には半分まで中身が減ったお弁当。

 お行儀悪く箸をくわえながら小首を傾げてみる。

「天体望遠鏡とかあったらいいんだろうけど、さすがに無理だろうしなぁ」

 たったひとりしかいない同好会にそんな高価な物を買ってもらえるはずがない。

「ん~。せいぜいお菓子か、レジャーシートくらいかなぁ?」

 星を見るときは寝転がって見上げるのがいい。

 全身の力を抜いて星を眺めると、彼らの“声”がよく聴こえる。

 ささやくような、歌うような。

 星が、とても近くに感じられるのだ。

 そう、こうやって耳を澄ませば――