∞ 雪和 side ∞

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 キーンコーンカーンコーン

「……授業始まってしもた」

 私の人生初のサボり。学校へ着いたものの、自分の教室に行く気にはなれず、かと言って割り切ってどこかへ遊びに行く事も出来なくて、結局屋上に逃げて来ている。

「私、何してんねやろ」

 屋上の冷たいコンクリの上に座り、本来なら受けている筈の一時間目の教科書を開いていた。

「あ! 宿題のプリント今日提出やった。でも……教室行きたくないなぁ」

 あれ以来、関西弁どころか一言も喋らなくなった私に“お人形さん”なんてあだ名が付いた。

 標準語さえ喋ればいいのかもしれない。けど、それじゃまるで今までの自分を否定するみたいでどうしても嫌だった。

「静かやなぁ……」

 授業中だし当たり前か、と自分の中で答えを出した私の耳になにやら聞こえてきた。

「男の子の声? 遅刻したんかな」

 そうっと声のする方向に近付き、フェンス越しに下を覗き見る。

 ビシッとスーツを着た茶髪の男の人の後ろから、私服姿の男の子が肩で息をしてるような素振りを見せている。