「…恋人を止めようと言ってるんです。」
先輩の顔が、歪んだ。
悲しむというか怒りの方へ。
「あ?」
「一緒に居ると傷つきます。」
「…ふざけてんのか?」
思いのほか、迫力のあるそれに私は少し怯える。
思えば、付き合ってきて先輩は私に怒られたことも喧嘩したこともなかった。
「この前の、喧嘩の原因。私への悪口だったんでしょう?」
「お前は関係ない。」
「きっとこの先も、私への悪口は絶えないと思います。」
手首や膝の裏に出来た傷がなくならない限り、大人になっても奇特な目で見られる。
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