何故か俺の方がドキリとして、ソファーの上からキッチンの方を窺う。

「はい。あ、トマト切りますか?」

「切ったらこっちに盛り付けてね。痛くなかった?」

視界に入る天気予報。
明日は快晴らしい。

「泣いてしまうほど…痛かったです。」

ここから見えるはずのない彼女。

けれど、自嘲しているような気がする。

「痛いのは別にしょうがないと思うんですけど、なんで泣くのかなって不思議に思ってました。」

「なんでだったの?」

「寂しかったんです。」

息子の彼女に、そんな無神経な質問を出来る親は然(ソ)う然ういない。