なんだかあったかいものを胸に感じながら部屋に入った。 オレは、売れない歌手だ。 でも、そんなオレでも、だれかを喜ばせることはできる。 オレの祈りを歌にすることができる。 自分の名前で、自分の歌いたい歌を歌おう。 お仕着せの芸名を与えられ、ヒットを狙った歌を歌わせられるのは、もうご免だ。 「媚びない。我が道を行く。」 これを、オレのモットーにしよう。 紙に大きくサインペンで書いて、部屋に貼って、しばらく見つめていた。