インターホンらしきモノから聞こえた声に、握っていた冬可の手を更にギュッと握りしめる。 冬可もそれに応えるように、握り返してくれた。 …それだけが、堪らなく嬉しかったりする。 「佐蔵です」 《佐蔵様、どうぞ御入りください》 云うなり、固く閉ざされた門がギーッと音を立てて開いた。 敷地内はもっと凄かった。 これが家?とか疑問になるぐらい、噴水があったり森みたいに木が繁っていたり…。 周りを見渡して感嘆していると……「冬可?」今最も会いたくて、今最も会いたくない人物が目の前に立っていた。