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カスミは尚もあたしの背中をさすっては、いろんな話をして落ち着かせてくれた。

さりげない優しさが心に染みる。

夜の空気の影響もあるんだと思うけど。




「カスミ、どうだい?」



蝋燭の長さが半分になるころ、あたしたちがいる部屋に一人の男の人が入って来た。


「あ、お父さん。」

とカスミが微かに呟いたのを、あたしは聞き逃さなかった。


お父さん…カスミの?

畜生!

顔を見たいのに部屋が暗すぎて輪郭くらいしか見えない。


「君がこまちさんだね?」


カスミのお父さんは綺麗な低音ボイスの持ち主らしく、その威厳ある喋り方にピッタリだった。


暗闇に立つカスミのお父さんの表情は何も見えないけど、視線だけは感じる。

あたしは慌てて返事をし、一応挨拶もしておいた。