「ねぇ、こまちは知ってる?怖い話をすればイロンナモノが寄ってくること。」


ふと視線を移せば、カスミは蝋燭の火を眩しそうに見ていた。


「聞いたことあるよ。怖い話をしてると幽霊とかが集まってくるんだよね…?」

「そうそう。…でも〜ホントは呼び寄せてるんだよ。」

「え?」

「負の感情が呼び寄せちゃうんだよね〜。悪霊…とか、そういうの。」

「負の感情?」

「うん。恐怖の気持ちや強い不安は磁石みたいな役割をして、良くないモノをぐっと引き付けちゃうの。磁石のS極とN極。」

「…じゃああたしがさっきまで追いかけっこしてたのは……。」


彼らもみんなあたしが呼び寄せた悪霊?


アユムや生徒会長やシグレも?


あ、シグレなら納得かも…。


「あれは違うね〜。ただ、こまちの躯から異様なくらい真っ黒な――強烈な恐怖が滲み出てたから。これは危険だ!って思ったわけ。」

「え、あの、つまり?」