突然のことに生徒会幹部のメンバーも呆気にとられてたらしく、あたしは簡単に生徒会室から出ることに成功した。


あたしのポケットでは、この前ふざけて着メロに設定した演歌が流れていて。


「もっももももしもしもしもし!?」

《あ、もしも〜し。こまち?》


走りながら電話に出れば、発信源はカスミだった。


「カスミ!?どうしたの!?」


もう随分と遠くにある生徒会室の扉を見つめながら、あたしはとにかく走る。


《どうしたってそりゃぁ》

「うわっヤバ!来た!」


その扉から姿をあらわしたのは、シグレとアユム。


《こまち今何してる〜?》

「えっ!?今!?今!?リアル鬼ごっこ!!」

っていうか電話切ってもいいですか!?


あたしを追いかける二人の後ろから、今度は双子とあたしの隣にいた眼鏡の女の子が出てきた。


《こまち電話切っちゃダメだよ?》

「え何で何で何で!?」

《いいから走り続けててね。》

「いやもうそこまで鬼が来てるんですけど!両手使って走りたいんですけど!」

《とにかくあたしと喋り続けて。ほらほら頑張れ〜。》