「え?」
素っ頓狂な声を出したのはアユで、あたしと生徒会長は彼を見つめる。
「歩。この人誰?俺が連れてこいって言った奴と全然ちがうんだけど。」
生徒会長の言葉にあたしもうんうんと頷く。
こんな美少年に会ったこともなければ、怒らせた覚えもない。
っていうかアユって本当はアユムって名前なんだ。嘘つきやがったなコノヤロウ。
「え?この子じゃないの?鵺の探してた子。」
話を聞くかぎり、どうやら生徒会長はヌエと言う名前らしい。
「馬鹿、全然違うから。」
「でも蜜って言ってたじゃん。」
「俺は甘い香水の女って言っただけで、蜜なんて一言も言ってない。」
「えー、じゃあ人違い?」
「そ。」
意味不明なんですけど。
え?人違い?ふざけんなよ。
立ち上がる最中、そろりとアユ(ム)の方を見てみたら彼はヘラッと笑っていた。
「いやー。ごめん人違い。」
ごめんで済んだら警察いらない。
