「あの時はな」

――でも今は……アイツの存在が怖い。


好きとか嫌い以前に、その感情しかない。



あの頃には、戻れない。

二度と。



心をズタズタに引き裂かれて、捨てられる思いを、彼は1度経験してる。




「守ってよ、オレを」

抱きしめる腕の強さが、その想いに拍車をかけるように。


大きくて、たくましいと思ってた背中は

本当は小さくて頼りなくて、誰にも分からない所で震えていたことに。


あたしはやっと、気付いたんだ。