そこにいたのはさっき皆で帰ったはずの俊也くん。手には缶コーヒーが2つ。



「ありがとう。」



あたしは缶コーヒーを受け取った。俊也くんが飲んでるのはブラック。一方あたしにくれたのはカフェオレ。こんな風にあたしの好みを知っていてくれているのは何か特別みたいな感じがして嬉しくなる。



あたしはカフェオレを一口。口の中に甘い味が広がる。



「先に帰ったんじゃなかったの?」



こんな事を聞いてしまうあたしはなんて可愛くない奴なんだろう。素直に待っててくれたの?なんてとてもじゃないけど言えない。



『途中で忘れ物したことに気が付いてさ、戻ってきたからついでに紀衣そろそろ終わるだろうし、待ってようと思って、待ってた。』


何だ、あたしはついでか。思わず顔が暗くなりそうになるのを上手く隠すのは、ここ2年であたしが唯一身に付けた技。


今ではすっごい役に立ってる。



「そうなんだ、ありがとう。」



『あ、コンビニ寄ってもいい?多分あいつら結構飲んでそう。俺らのなかったら困るし。』



「うん!やっぱりビールは絶対よね、ぁ、でもワインも良いなぁ〜。ぁ、チーズとお菓子も買うわよね?」


『はいはい。分かったから。』



そう言ってあたし達はコンビニへと向かった。





───────……ほら、ちゃんと笑えていたでしょう?



絶対、俊也くんは気付いてない。これからも絶対気付かないでなんて思うあたしの心の声も……………










……何て、思っていたのは、あたしだけだったのかもしれない………