そして強制連行されたあたし。
『で?本当はどうなの、話してたんでしょ、滝沢くんと。』
いつもそう、佑実にはあたしの嘘はすぐバレてしまう。何でって聞いたら佑実はいつもただ笑って『紀衣は分かりやすいのよ。』と言うだけで全然教えてくれない。
やっぱり今回もバレてたか…
「別に…ただ話しただけよ。」
そう、ただ話した…それだけ。
あたしは何も言われてなんか…
『嘘。どうせ告白でもされたんでしょ?』
…はい、バレた。
この状況での沈黙なんてYesでしかないのに何も答えられないあたし。
『ビンゴね♪で、何て言ったの?もちろん断ったんでしょうね。』
佑実、目が怖いわ。
こんな状況じゃ本当のことなんて言えないわよ。
「もちろん。」
『断らなかったのね。』
即答────!!
「待って、違うの。断る隙もなかっていうか、その…『分かった分かった。付き合うことにはなってないのね。じゃぁ、早く断ることね。これ以上機嫌を損なわないうちに。』
「誰の機嫌を?」
『はぁ…あんたのそういう所大好きよ、同時にイラッともするけど。』
「ありがとう、誉め言葉として受けとっとくわ。」
そしてあたし達はようやく人数分のコーヒーを注ぎ終え、仕事に取り掛かった。