「今日、暇?」 それはいつもの合図。 ユウキの家は両親が音楽家だとかで、時折ユウキを残して公演に行ったりする。 その言葉が出たときは、おじさんもおばさんも今日は帰ってこないってこと。 だから朝までゲームをやったり映画を観たりして遊ばないかというお誘い。 「悪い、今日はちょっと」 断ったことのないユウキからの誘いを、俺は初めて断った。 「……そっか。ゴメン、じゃあまた明日」 くるっと向きを変えたユウキの背中が寂しげで、俺は罪悪感と後悔を感じながら、振り切るように俺は家へと入った。