いっときの迷いで手放してしまうには惜しい、この距離関係。


「それとも、オレには言えないの……?」


しゅんと目を伏せ、ふてくされたかのように微かに唇をとがらせる。


だからそういう仕草をするな!


「オレ、信用ないのかなぁ……」


遠いところを見るユウキの髪が風になびき、夕陽に照らされた顔は物憂げだ。


自分がひどく悪いことをしているような気分になるが、それでも言うわけには……


「ねぇもしかしてさ、カズヤ。

恋患い、なんて言わないよね……?」