今度は私の顔を、じっと見た。

爪を弄っていた手に力が入り、引き寄せられたと思ったら、キスだった。

唇はすぐに離れ、中鉢は笑っていた。

『可愛くなきゃこんなことしないよ』

スーツを脱ぎ棄てただけで、中鉢は先生から男の人に変身してしまった。

メイクを落とした私は、女子高生から何に変わってしまったんだろう。


不意に武器を失ったような気分になって、私は心もとなくなった。

『…こんなの誰でも、できるしなぁ』

『もう一回する?』

バーカ、キスが足りないんじゃないよ。

『だって目、閉じてたらブスでもわかんなくて済むじゃん!』

『そうか。どうしたら良いの?
何をさせてくれますか』

卑怯だなぁ、…女子高生に言わせようと言うのか。