もう既に準備を終えた敦子が莉子を急かす。


だが、
肝心の教科書が見つからない。


[先行くよ?あと少しで予鈴なっちゃうから…]

敦子は、莉子の返事も聞かず残っていたクラスメートと一緒に教室をあとにした。


──何よ。待ってくれても…

莉子は心で呟いた。

イライラが積み重なる。
敦子は昔からそうだ。

自分の調子いいように動いてる。


敦子の言葉と教科書が見つからない焦りで莉子の怒りは頂点に達した。



[ね、一緒に行かない?]