月と太陽の事件簿13/アルテミスの翼

いきなり人気タレントのボディガードをやれだなんて言われたら、誰だってあんな声を出すだろうに!

「いゃあ、それほどでも…」

「照れてんじゃないわよ!」

あたしは顔を真っ赤にした湯月くんにツッコミを入れた。

全く、前も横もボケだらけかい!

あたしは気を落ち着けるために、水を一口飲んだ。

「で、なんでまたそんな事になったのよ」

人気タレントのボディガードなんて尋常な話じゃない。

「きっかけは一通の脅迫状だ」

「脅迫状!?」

思わず大きな声が出てしまった。

店内にある幾つかの視線があたしに向く。

先ほどまで赤い顔をしていた湯月くんが青い顔になった。

あたしはあわてて周囲に頭を下げた。

「藤本翼の所属事務所は最初、その脅迫状を無視した」

達郎兄ちゃんはあたしの行動を無視した。

「芸能界ってのは、そのテの話がよくあるとこらしくてな。今回届いた脅迫状も、そのうちのひとつだと思ったらしいんだが…」