そのことによって犯人は爆弾の存在が逆に気になり、急いで爆弾の様子を見に来るか、回収しに来るはずだと予想した。

果たして、その通りになった。

楽屋のドアが開き、何者かがひとりで忍び込んできた。

隙間からは顔はよく見えない。

とりあえずあたしは手にしていた携帯の発信ボタンを押した。

打ち合わせ通り、ワンコールで電話を切る。

楽屋に忍び込んできた何者かは、これまたそのままにしてあった鏡の貼紙をはがすと、メイク台に置いてあった爆弾を手に取った。

このままでは忍び込んできた何者かは、そしらぬ顔で楽屋から出ていってしまうだろう。

せめて顔だけでも見れれば…。

あたしが体勢を変えようとした時、手に何かが当たり、ガタンという音がした。

その何者かは、音のした方、つまりはあたしたちが潜んでいる「物」に目を向けた。

何者かの顔が見えた。

犯人はコイツだったのかと思うと同時に、ヤバいと思った。