それでも翼さんは心強いと言ってくれた。

本心でそう言ってることは、握り返してくれた手のぬくもりから充分伝わった。

ぽん、と頭の上に手を置かれた。

振り向くと、達郎兄ちゃんがそこにいた。

「お前ら連れてきて正解だったな」

達郎兄ちゃんはとても優しい笑顔を浮かべて、あたしと湯月くんの頭を撫で回した。

頭を撫でられるのは嫌じゃない。

嫌じゃないけど、いざ我に帰ると、なんか恥ずかしい。

ただ一緒に頭を撫でられてる湯月くんが顔を真っ赤にしてるのにはオイオイと思った。

男にアタマ撫でられて照れるんじゃないよ、あたしの彼氏。

てか達郎兄ちゃんも男子高校生のアタマをいい子いい子すんなよ。

腐女子は喜ぶだろうけど、あたしは違うぞ。

「ところで」

頭から手を離した達郎兄ちゃんはあたしと湯月くんを交互に見た。

「お前ら、犯人捕まえるために頑張るって言ったよな?」

その笑顔からは、優しさは消え失せていた。