そう言って立ち去る高野昌子の背中を、あたしは呆然と見送った。

結局彼女は、一度もあたしたちを見ようとはしなかった。

「なにあの人…」

翼さんに対して、あからさまなジェラシーを抱いていることは確かだ。

「翼さんが合同練習に参加できないのは、仕事なんだから仕方ないじゃないですか」

「高野さんはチームのキャプテンだから、和を大切にするのよ」

「でもあんなこと言う人の方が、絶対チームの和を乱しますよ!そう思いませんか!?」

てかもう、翼さんは売れっ子なんだから、フットサルを続ける必要はないのではないか。

そうすれば、さっきみたいな嫌味を言われることもないだろう。

あたしがその事を告げると翼さんは首を振った。

「それはできないわ」

「でも…」

「そんなことをしたら、杉田さんに悪いもの」