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「で、お前が好きな久我大毅とやらに告白するため、俺にお前をプロデュースをしろと?」

いってぇ、と付け足しながら横目でこっちを見てくる。

「…とりあえずそういうことです。それから、す…すんません…」

思わず語尾が小さくなる。

「ふーん…嫌だ、断る」
そう言うと進はそっぽを向いた。

「なっ、なんでだよ!」

「大百科で殴った後の台詞か?それにお前みたいな男っぽい女を女らしくした時点で俺に何の得がある?大体女らしくなる、だなんてお前の意識次第だろうが」

「そ…その方法が分からないから頼んでんだよ!うちはみんな男兄弟で…一緒に男らしく育てられてきたんだ…。
でも久我君って…好きなタイプが女…の子…らしい人だって…聞いたから…」

またゴニョゴニョと語尾が小さくなる。

俯いて顔をちょっぴり赤くしながら言う様は、口を塞げば女らしく見えるけどな、と進は呟いた。

聞こえていなかったのか、え?と顔をあげる彼女に溜め息を吐いた。

「分かった。プロデュースしてやる。お前を…椎名美佐を女らしくしてやる。久我に告白出来るほど、自信つけさせてやる」

笑顔になる彼女に、最後に一言放った。

「ただし。条件付きだ」

たちまち眉間にシワを寄せ、不安そうに進を見る美佐。

「条件?」

そう、と言うと進はフッと微笑を浮かべた。

「俺の願いを1つ叶えろ。それだけだ。願いは……あー、お前が女らしくなってから言うわ」



その台詞から、あたしが女になるためのプロデュースが始まった。