中学の頃、いじめにあった。
　きっかけはよく解らない。

　不潔にしていたと言うこともターゲットにされる理由の一つだったのは確かだ。
　教室内を歩いていて、制服のスカートが触れあうと、

「いやー、スカート腐る。こっち来んなや」
　と、罵声が飛んできた。

　他の人の机にスカートが触れると、
「うわ、机腐る。今日もうこの机使いたくないんだけど」
　と声が聞こえてくる。

　廊下を歩くと、
「こっち来んなや」
　と睨まれ、距離を置かれる。

　唯一友達だと思っていた人。
　一緒に帰る約束をすると、学校から少し離れた場所で待ち合わせて、遠回りで帰った。
　一緒に帰るのを誰かに見られたくなかったのだろう。

　そのうち、挨拶もされなくなった。

　高校に入って、自分を変えなければと思った。
　気持ちを切り替えると意外と物事が気にならなくなるのかと驚いた。

「加藤ー、加藤」
　入学して間もなくクラスの女子から声をかけられた。
「あんた、今日からカメール人ね」

　どこからそんな名前を拾ってきたのか解らないが、突然あだ名がカメール人になった。
　その呼ばれ方を嫌がって、落ち込む姿を想像していた様だ。