「あ、そうだ」



手際よくテーブルにお皿を並べる蓮君。


私は冷やしていた左手を拭いて、


エプロンを外してから椅子に座った。



「これから、僕のことは呼び捨てにしてくださいね」



いただきます、と動かした手を止める。


「呼び捨て?」



「蓮、と呼んでください」




「あぁ分かった」




「……さっぱりしてますね」





私は止めたスプーンを動かしながら話す。




「だって、君付けするの、嫌になってたところだし」




「それはつまり…」




「君を付ける価値なんてないってこと!」





「…はぁ」



親近感の表れじゃないんですね、


なんて言う彼をまた睨み付けた。




「誰がそんなの思うか!」



「僕は思いまくりですけど」



「変態」




悪びれた様子が、ちっとも見られないんだから!




「変態に感じていたのは誰でしたっけ」



「ぶっ!///」




か、感じっ!?





「本当に、可愛いらしい反応をしますね。



もっとたくさん、


シテあげますから」




「変態ぁぁい!!///」





この日の吉岡家の食卓に、

私の叫び声が何度も何度も響いたのは言うまでもない…。