此処に二人の男が居る。


二人が居る場所は何の変哲もない道。


ジョギングコースになっていて、休日には利用者で多くの者が行き交う。


加えて、平日は小学生の通学路でもあり、朝そして下校時間帯は賑やかだ。



今現在その道を歩くのは男二人のみ。


ひとりは大学に通う爽やか青年。


もうひとりは、自由気ままなフリーター。


足取りは軽やかだ。


時刻は丁度午前10時を回ったところ。


ふたりは並んで歩く。


同じ場所に同じ時間帯、ふたりはいる。


一つだけ、言っておくとするなら。


彼らはお互いが見えていない。


そして、互いを知らない。


そう、遭わないふたり。


.