そんななか、優衣と龍之介は屋上の数少ない日陰でありながらあまり人目につかない所を定位置としている。


とはいえ、屋上はもともと龍之介の縄張りと化しているような場所。

言うなれば此処は狼の居住地。


そんな場所に自ら足を踏み入れようという心意気のある生徒など、この学校にはそうそういないのだが。


しかし、誰も来ないことほど有り難いことはない。


誰もいないこの空間は二人にとってとても大切なものなのだ。




「ごちそうさまでした!」




パチンと行儀よく手を合わせてそう言えば"おそまつさま"と返ってくる龍之介の声。


これがいつもの二人のやりとり。




(ふへぇ…今日も美味しかった!幸せ幸せ!)




お腹も心も満たされ最上級の至福感が優衣の体を包む。