「おや、……もう時間かね」
キョウスケは名残惜しそうに言うが、オレにはもう十分だった。
精神的ダメージがでかい。
それに強制全員参加もあったため、休憩も少なかった。
リンなんか、ほら、顔が上気して大丈夫だろうか。
「キリがいいから、これで最後にしよっ」
カナコはキョウスケの次に楽しそうな顔をしている。
慣れているのだろう。
「では締めるにはみんなで歌えるこの曲だね……国歌」
「待てい!!……っ!!」
のどがからからで、思わずむせてしまう。
「なんだね?」
「国歌はないだろ」
のどの痛みであまり強く突っ込めない。
「国歌はみんなで歌えるだろう」
歌えるかもしれないが、締めで歌うような曲じゃない。
「この中で反日派、挙手したまえ」
手は挙がらない。
「ほら」
「ほらじゃねえよ」
このままでは妙な雰囲気で終わってしまう。
余裕の表情のカナコも、少しあせった様子。
「こ、ここはくるりんに選んでもらおうよ」
くるりんはすかさず曲を入れた。
イントロ。
「……ふむ。某二十四時間番組のテーマ曲かね。まあいいだろう」
キョウスケも納得したようだ。
さすがというか、扱いに慣れている二人だと思う。
「では諸君!起立したまえ!!」
全員疲れきった顔だが、なんとなくこの曲は似合っているかもしれない。



