さてと、文化部と言ってもいくつかある。
ブラスバンドと呼んだらなぜか怒る吹奏楽部。
上となぜか仲が悪い軽音楽部。
技術者と書いてオタクと読ませる連中のパソコン部。
毎日なにをやるんだ茶道部。
その他、活動しているか怪しい写真部、天文学部、無線部、囲碁将棋部……など様々だ。
それでオレはどの部に目を付けたかって?
一番部室が教室に近い……。
「文芸部」
オレは特に本が好きというわけじゃない。
書くのはというと……読書感想文が苦手だったな。
そう、特に深い意味はない。
適当だ。適当。
さっさと入部届書いて帰るか。
……。
しかし、まあ、なんというか。
「……入りづらいな」
文芸部の扉の前。
閉まりきっているが、取り付けられた小窓から光が射している。
中に人がいる証拠だ。
なんてことはない。
ただ、扉を開ければいい話なのだが……。
「誰か連れて来たらよかった…」
そんなことを今更オレは後悔する。
そこへ、
「あの」
「へ……?あ、はい?」
急に耳に飛び込んだ言葉。
思わず敬語になる。
「あの、入れません」
目の前に現れた少女は唐突にそんなことを言った。



