「おはよう」
「おはようございます」
部活に通い始めて四日目の朝。
――リンが薄っぺらな本をカバンの中にしまい、いつもの文庫本を取り出す。
うん、前者が何か聞かない。
いつも通り、リンの前の席に座るオレ。
肩にかけていたカバンを下ろし、一息つく。
今日で四日目になる。
部活の人数確認とやらはいつ行われるのだろうか?
こうも毎日続くと疲れる。
さて。
「お前はいつも何の本を読んでいるんだ?」
ダメもと、ストレートに聞いてみる。
「……興味ありますか?」
「ある」
正直、『なんで教えなくちゃいけないんですか?』と返されなかっただけで……。
「『なんで教えなくちゃいけないんですか?』」
「ぐはあ」
「なんですか、その反応」
「いや、なんだか」
このツンツンしているのはどうにかならんのか?
「……別に、言ってみただけですよ」
「……は?」
「見ます?」
リンが本を差し出してくる。
いいの?
「うおっし!」
「さっきからなんですか。その反応」
「すまん」
予想外の事態に建前と本音が逆になってしまった。



